Wave Power 波力

波力発電は、無限に打ち寄せる波のエネルギーを、効率よく空気流のエネルギーや浮体運動のエネルギーに変換して、そのエネルギーを使って発電するシステムです。 波力発電の本格的実証プロジェクトは、日本が欧米に先駆けてスタートしました。三井造船は、その初期からプロジェクトに参画し様々な装置の実証試験を手掛けてきました。 現在も、三井E&Sグループが進めている波力発電装置の開発を、水槽模型試験や数値シミュレーションでサポートしています。

波力

1.波力発電の歴史

 波力発電は、1970年代のオイルショック以降、石油を燃料とする火力発電の代替発電方式として、世界中で研究開発が盛んになりました。波の持つパワーを発電出力に変える手段として、主に二つの方式が研究されています。
 一つは、海面に伏せたお椀のような空気室を設置し、上部に穴をあけて、空気室内の水面が波で上下する際に発生する空気流を利用してエアタービン+発電機を回して発電するエアタービン方式です。空気室内の水面が「水の柱」となって上下するので、振動水柱(OWC)型とも呼ばれています。もう一つは、海面に浮いた浮体の運動(上下動や回転運動)を利用して、油圧発電機のアクチュエータを駆動させて発電する可動物体方式です。

 我が国では、空気室を用いたエアタービン方式が盛んに研究されてきました。1970年の大阪万博でも、日本政府館に1kWの小型波力発電装置がデモ展示されました。1978年~1985年には、波力発電船「海明」による実証試験が山形県由良沖で実施されました。この研究成果は、JAMSTECの沖合浮体式波力発電装置「マイティーホエール」による1998年~2002年の大規模実証に活かされました。この研究開発において、弊社は空気室での波パワー変換のシミュレーションと現地計測をお手伝いしました。

波力発電浮体「マイティーホエール」
(出典:波浪エネルギー利用技術の研究開発-沖合浮体式波力装置「マイティーホエール」の開発-、JAMSTEC、2004)

 三井造船は、防波堤組込型の波力発電装置の実証プロジェクトにも参加しました。1988年から運輸省(現国交省)の波力発電実証事業として、山形県の酒田港防波堤に波力発電ケーソンを設置して振動水柱型波力発電装置の実証試験を実施しました。内部の機器類は撤去しましたが、ケーソンは現在も残っています。

酒田港に設置された波力発電ケーソン
(出典:三井造船カタログ「波エネルギー利用型防波堤」)

 東北電力は三井造船と共同で、防波堤組込型の水弁式振動水柱型波力発電装置を開発し、1996年に130kW発電機を有する実証装置を、福島県原町に建設中だった東北電力原町火力発電所の防波堤に組み込みました。この実証試験装置も、実証終了後に発電機を外して防波堤内に残されましたが、2011年3月の東日本大震災時の津波によって破壊されてしまいました。
 防波堤組込型の装置開発に関して、弊社は数値シミュレーションや水槽試験を担当しました。
 1970年代のオイルショックに端を発した波力発電の研究開発は、原油価格の安値安定と共に「マイティーホエール」の実証を最後に、大型プロジェクトが中断しました。

2.三井E&Sグループによる近年の波力発電実証事業

 プロジェクト中断後に、地球温暖化がクローズアップされ、温室効果ガス削減が急務となりました。さらに、2011年3月の東日本大震災における原発事故により、脱・原発の動きが盛んになりました。そこで、海洋再生可能エネルギー利用のひとつである波力発電が、10年ぶりに脚光を浴びることになりました。
 三井造船(当時)は、可動物体方式による波力発電装置の研究開発を再開しました。
 2011年にNEDOは三井造船(当時)と共同で、新型式の波力発電装置の開発を開始しました。波パワーの大きい沖合に、浮体式の高効率発電装置を係留設置する形式です。本装置は、弊社で数値シミュレーションや水槽試験模型による発電試験を繰り返して、2017年度に伊豆諸島神津島沖で沖合浮体式波力発電装置の実証試験を行いました。
<参考資料:日本海域に適した波力発電技術の開発、三井造船技報第210号、2013.11>
<参考資料:機械式波力発電実証試験における海洋環境調査について、日本船舶海洋工学会講演会論文集 第27 号、2018.11>
<参考資料:平成23年~平成29年度報告書「風力等自然エネルギー技術研究開発/海洋エネルギー技術研究開発/海洋エネルギー発電システム実証研究(機械式波力発電)」、NEDO、2018.01>
https://www.nedo.go.jp/library/database.index.html

 NEDOと同時期に、環境省も沿岸型の波力発電装置の実証事業を開始しました。三井造船(当時)は2013年に環境省地球環境局から、小型で高効率の波力発電システムの研究開発・実証事業を委託され、波周期に合わせてフロート上下動の固有周期を調整する同調制御技術を開発し、小型の発電フロートによる高効率発電を可能にしました。弊社は、この同調制御技術を、数値シミュレーションや水槽試験模型により開発し、実証機に反映させました。
沿岸着底式波力発電装置は、茨城県大洗港にて、2014年度と2018年度に実証試験を行いました。
<参考資料:沿岸型波力発電装置の開発、三井造船技報第215号、2015.08>
<参考資料:平成27年度環境省委託業務「小型で高効率な波力発電システムに関わる技術開発・実証事業(副題:大洗港における技術実証)」成果報告書,2016.2>
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/cpttv_funds/end2015.html
<参考資料:平成30年度環境省委託業務「沿岸域における次世代型波力発電システムの技術開発・実証事業(副題:同調制御などによる高効率発電システムの開発)」成果報告書,2019.8>未公開

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